業務委託なら副業禁止の会社でもやってよいのか、疑問に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回の記事では、業務委託の仕組みや副業で業務委託はできるのかなどについて紹介していきます。
また副業で業務委託をするメリット・デメリットについても紹介していますので、これから業務委託での副業を検討している場合活用できます。
そもそも業務委託とは?
「業務委託」とは、企業を委託元として業務を請け負い、雇用されることなく仕事を行う働き方のことです。
一定期間の雇用契約を結ぶ契約社員とは異なり、委託元と委託先は同等の立場で業務を行います。
Webライティングやデータ入力・プログラミングなど仕事の内容は幅広く、求められた仕事内容を納期内に提出することで報酬を得る仕組みです。
クラウドソーシングサイトや求人サイト・SNS・知人の紹介などで、委託元と委託先のマッチングが行われます。
前提:副業は「雇用契約」か「業務委託契約」の2択
自らの制作物を直接販売するような副業の場合は、企業と契約をする必要は特にないでしょう。
しかし企業を相手とした副業を行う場合には、基本的に「雇用契約」か「業務委託契約」のどちらかを選択することになります。
雇用契約を結んで副業する場合には、労働基準法により保護されることや、確定申告の簡便さなどがメリットとなります。
しかし企業の指揮系統に縛られることや、就業規則に従う必要があるなどのデメリットもあります。
企業と作業者が雇用関係にない契約
業務委託の場合は、企業と作業者の間に雇用関係はなく、互いに同等の立場で仕事をすることになります。
そのため企業の求める成果物を決められた期間内に納品するのであれば、仕事のやり方は基本的に作業者の自由となるのです。
業務委託の契約で重要なのは、企業側の求める作業結果を完全な形で納品することです。したがって、納品したものが不完全であった場合には、改善や補償を求められる可能性があります。
特定の業務を個人や他企業に委託する契約
プログラミングやライティング・Web制作など、特定の業務を個人や他の企業に委託する契約であり、非常に幅広い業務が委託の対象となります。
委託される業務によっては、完全に在宅で行うことができるものや、自由な時間で行えるものなども多く、副業として選ぶメリットは大きいです。
また企業側も人材の育成にかかるコストを削減できることや、難しい業務を外注できるなど、メリットのある形態と言えます。
業務委託で副業は可能?
特定の企業との雇用契約を締結していないフリーランスの場合は、業務委託による副業は原則的に制限されません。フリーランサーの場合は、複数の委託業務を掛け持ちしていることが多いです。
会社員や公務員でも、業務委託による副業を行うことは可能な場合がありますが、注意点も押さえておくべきでしょう。
規則に違反する場合や、副業が本業に支障を及ぼしている場合などには、解雇につながるケースもあります。
公務員は「法律」で禁止されている
公務員は国家の「奉仕者」として働くことが法的に義務付けられており、基本的に副業を行うことはできません。
利益を求めるための業務や、公務員の印象を損なう行為の禁止が、国家公務員法で定められていることが根拠となります。
しかし職務に影響が出ない範囲ならば、投資や執筆活動など例外的に副業が認められるケースもあるのです。
また働き方改革関連法の施行により、一部の自治体では副業解禁の動きを進めています。
民間企業の会社員は「就業規則」次第
民間企業の社員は、会社の規則に違反しない範囲で副業を行うことができます。
日本国憲法では「職業選択の自由」が保障されており、民間の会社員は副業をしても法的には問題ありません。
しかし会社の就業規則に違反する場合や、本業に悪影響を及ぼす場合には、会社での立場が危うくなることもあります。
民間企業で働く人が副業をする場合は、就業規則をよく確認し、原則的には会社からの許可を得てから行うべきです。
「業務委託での副業は本業の会社にバレない」という噂は本当?
正社員として働くサラリーマンは、副業をする場合に会社からの許可を得ることが必要であると述べました。
しかし会社員でも、会社にバレずに副業による事業所得を得ている人がいることも事実です。
業務委託による副業は、会社に許可を得ることなく行ってもバレないと言われることがあります。
確かに1つ1つの案件を受注・納品することで報酬を得て、確定申告を自分で行うため、会社に発覚する可能性は低いように考えられます。
ですが本当のところはどうなのか、慎重に事実を確認しておきましょう。
「バレない」ではなく「バレにくい」
会社にバレる恐れがないのではなく、アルバイトなどと比較するとバレにくいというのが実情です。
周到な対策を講じることで確かにバレにくくはなりますが、完全な対策はないと言わざるを得ません。
副業を隠すにはそれなりの知識が必要で、しっかりとした対策を取らなければ、会社に発覚する可能性は大きいでしょう。
リスクがゼロでないことを承知して、十分な準備を行える人でなければ、会社に許可を得て副業をする方が無難です。
「業務委託」では源泉徴収や年末調整が不要なのでバレにくい
特定の企業との雇用契約を締結した場合、給与の源泉徴収・年末調整が行われます。
しかし源泉徴収や年末調整のない副業では、会社からもらう給与に対する所得税への影響が少なくなると言えます。
繰り返しになりますが、雇用契約に基づく副業よりはバレにくいとは言え、完全にバレないわけではありません。次に解説する原因と対策を把握して、できる限りの準備を整えておくことが重要です。
副業が本業の会社にバレる3つの原因と対策
「会社にバレないだろう」と考えて始めた副業が、何らかの理由でバレてしまうことは大いに有り得ることです。
リスクがあることを承知し、それでも副業を始めたいと言うのであれば、副業発覚の主な原因を知っておく必要があります。
原因を知っておくことで、取るべき対策も見えてくるはずです。自分はバレないだろうなどと軽く考えず、十分な知識を身に付けた上で始めましょう。
ここでは副業がバレる3つの原因と対策について解説します。
住民税の金額でバレるケース
本業以外で得た所得が年間で20万円を超える場合、確定申告を行わなければなりません。確定申告を怠ると脱税になるので必ず行う必要がありますが、注意しなければならないのが住民税です。
住民税の金額は自分が住んでいる地域の自治体のあと、会社にも通知されます。
他の社員と同じ給与をもらっているはずの社員の住民税が、他よりも高い場合には会社は副業を疑い、結果バレてしまうのです。
対策として、確定申告時に住民税も自ら支払う旨を申告しましょう。自分で住民税を支払うことで、会社には増えた所得を知られることがありません。
社内のメンバーに偶然見つかるケース
スマホでいつでもどこでも副業できる便利な時代ですが、それだけに偶然の発覚のリスクも高くなっています。
委託業務の作業中を偶然見られたり、急にお金回りが良くなったことを怪しまれたりと、どこに落とし穴があるかわかりません。
本業の時間内に別の仕事をすることはせず、どうしても必要がある場合でも絶対に人に見られない環境で行いましょう。
メールやチャットワークといったツールでのやりとりも、必ず自分のスマホやパソコンで行い、リスク管理を徹底すべきです。
社内の同僚に話して広まるケース
本業以外でお金を稼げるようになると、他人に話したくなってしまうこともあるでしょう。しかし親しい同僚であっても、社内の人間に打ち明けるべきではありません。
人の口に戸は立てられません。故意にせよ過失にせよ、同僚から会社にバレる可能性は大きいです。
会社の同僚だけでなく、友人や知人に関しても同様です。
どこで誰から社内の人間に伝わるかわかりません。できれば家族にも、自分の副業については漏らさない心構えをすべきです。
業務委託の確定申告はどうする?
サラリーマンとして働いている人の中には、確定申告について詳しく知らないという人も多いです。
業務委託等における副収入と言えど、確定申告を行う義務がある場合があるケースを確認しておきましょう。
業務委託の場合には年末調整は行われませんが、確定申告の義務がなくなるわけではありません。申告を怠ると脱税を行ったことになってしまうため、自分の所得は細かい部分までしっかりと把握しておきましょう。
条件によっては副業の業務委託でも確定申告が必要
会社からの給与所得がある場合には、副業で得た所得は雑所得の扱いとなり、所得額によって確定申告が必須となります。
給与所得のある人が確定申告をしなければならないのは、副業による雑所得が年間合計額で20万円を超過する場合です。
個人事業主の場合でも、業務委託による仕事で継続的に収入を得ている場合には、事業所得とみなされます。
事業所得を得ている人は、合計所得額が年間48万円を超過する場合に確定申告をする義務があることに注意しましょう。
副業での業務委託の確定申告をしないとどうなるか?
給与所得者でもフリーランスでも、確定申告が必要な場合に義務を怠れば罰則が科せられてしまいます。
申告忘れや申告の遅れがあった場合に、支払わなければならないのが無申告加算税です。50万円以下の場合には15%、50万円超の場合には20%が追加課税されます。
上記に加えて、納付期限を過ぎてしまった場合には延滞税も課されるため、必ず申告をするようにしましょう。
副業での業務委託収入が少ない場合は?
給与以外の所得が規定された金額よりも少ない場合には、所得税の確定申告は必要ありません。しかし税務署ではなく地方自治体の管轄である住民税については申告の義務があるため注意が必要です。
たとえ業務委託等の副業における所得がどんなに少ない場合でも、市区町村に対して住民税の確定申告を忘れてはいけません。副業であってもきちんと帳簿をつけ、必要書類とともに自治体に申告しましょう。
まとめ
本業の収入だけでは不安な場合や、将来に対する保険として、副業を考えている人が多い時代です。
「働き方改革」を踏まえ、厚生労働省もダブルワークに関するガイドラインを改定しています。しかし副業をするにあたって必要な基礎知識が、まだまだ知られていないのも事実です。
本記事で紹介した「業務委託」にはさまざまな種類のものがあり、誰にでも始めることが可能なものも多くあります。
必要な知識を身に着け、自分にも始められそうなものから上手に副業と向き合ってみてはいかがでしょうか。